アートディレクターとは、グラフィックデザイナーよりワンランク上のポジションで、基本的には自らデザイン作業することは少なく、複数の制作スタッフに指示を出して作品をとりまとめる仕事です。
日本の代表的なアートディレクターには佐藤可士和さん、浅場克己さん、宇川直宏さん、立花ハジメさん等がいます。
デザイン専門誌では『AD』と略される事もありますが、テレビ業界のAD(アシスタントディレクター)とは違いますので注意が必要です。
なぜ1人で作らないの?
グラフィックデザイナーは1人で制作を受け持つ事も多いのですが、なぜアートディレクターは複数のクリエイターを使って仕事をするのでしょうか?
大きな案件で予算も沢山あって、作業が多岐に渡る場合、作業内容によって専門のクリエイターに依頼を出さなければ、どんなにスキルの高いデザイナーでも1人では手が回りませんし、クライアントが要求するクオリティを満たす作品が作れません。
そのためには、アートディレクターのようなデザイン制作に精通しており複数のクリエイターの作品を掛け合わせて総合的な作品を作り出せるまとめ役が必要なのです。
アートディレクターはクライアントからヒアリングを行い制作物の方向性を決定した後、
・イラストレーターへのイラスト依頼
・起用タレント、モデルの選出
・タレント・商品撮影をカメラマンに指示
・広告コンセプトをデザイナーに指示
・コピーライターにキャッチコピーを依頼
等を行い、
複数人のスタッフに指示を出し、1つの制作物を生み出します。
グラフィックデザイナーが平社員だとすると、アートディレクターは課長、部長のようなポジションに該当するといえるでしょう。
小さなデザイン事務所では、社員がグラフィックデザイナーで、社長が営業兼アートディレクターを務めているというケースが多いです。
アートディレクターになるには
アートディレクターになるにはデザイン制作の全体の流れ、作業にかかる時間やコストを把握する能力、クライアントとの折衝力やスタッフに的確に指示を出す能力が必要とされます。
そのため大学や専門学校でデザインを学んだ後にいきなりなれる職業ではなく、グラフィックデザイナーとして働いてキャリアを重ねるうちに上司から選任されたり、後輩や部下がつくうちに必然的にアートディレクターの役割を担うようになったりするのが一般的です。